お茶の種類と特徴
日本茶には、様々な名称があります。
なんとなく意味の分からないまま買っていたけれど、どんな意味なんだろう?
買ってみたいけれど、どんなお茶なんだろう?という疑問にお答えします。
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玉露
高級茶として、広く知られた名前ですが、その特徴をご存じでしょうか?
玉露と通常の煎茶の違いはその栽培方法にあります。茶の木は、根っこの部分でテアニンと呼ばれる旨み成分を生成します。これが、日光に当たるとカテキンになります。玉露は、茶摘みの最低2週間程度前から、茶の木に覆いをかぶせ、日光を遮ります。この工程によって、アミノ酸(甘味成分)やテアニン(旨味成分)がカテキン(渋み成分)に変わることなく増加します。つまり、玉露とは渋みが少なく、甘味と旨味たっぷりの茶ということです。その特徴は淹れ方にもあります。最大限にその旨味を楽しむため、一煎目は通常よりもかなり低い温度(60℃~茶葉によっては40℃程度)で、時間をかけて抽出します。その後、二煎目を熱めの湯で入れると、程よい苦みも楽しむことができます。
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煎茶・玉緑茶
いわゆる緑茶のこと。ここでは、煎茶と玉緑茶の違いにフォーカスを当ててご説明したいと思います。
全国的に出回っている煎茶に比べ、同じ緑茶でも茶葉の形状が異なる玉緑茶。熊本県は玉緑茶の生産量全国3位という国内有数の玉緑茶の産地です。
玉緑茶は、日本のお茶生産量の5%にも満たない希少価値の高い逸品です。茶葉が勾玉のように「ぐりっ」と曲がっていることから、「ぐり茶」と呼ばれることもある熊本独特のお茶です。これは、製造工程の中に精揉(せいじゅう)という茶葉をまっすぐにする工程がなく、円形の釜で加熱されることで作られる形です。曲がっていることで、一般的な煎茶に比べてゆっくりと茶葉が開き、まろやかな味わいになるといわれています。 -
釜炒り茶
一般的な製法である「蒸し性」の緑茶に対して、無水の状態の釜で茶葉を「炒った」もので、玉緑茶の製法の一つです。
炒ることにより、独特の香ばしい香りと旨味があり、あっさりとした飲み口になっています。
釜炒り茶は熊本特産のお茶のひとつです。 -
深蒸し茶
通常よりも長い時間をかけてじっくりと茶葉を蒸した緑茶。長い蒸し時間によって出来上がった茶葉は細かく、抽出されやすいため水色や味がよく出ます。香りは弱くなりますが、味はまろやかでコクがあります。水出しの緑茶にも向いています。
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白折(しらおれ)
棒茶、茎茶、雁ヶ音(かりがね)、呼称は様々ですが、お茶の茎の部分を集めたものです。さっぱりとしてくせが少ないのが特徴です。京都では、玉露の白折を特に雁ヶ音と呼び、高級茶として人気があります。
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芽茶
お茶の芽や葉の先端の部分を集めたもの。これらの部分には、葉のエキスが凝縮されているため、香りも味も濃厚です。カフェインも多く含まれているので、覚醒作用も強め。
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粉茶
煎茶や玉緑茶を作る工程の中で出た、茶葉の細かい切れ端を集めたもの。粉状なので、成分が抽出しやすく、色や味がよく出ます。短い抽出時間で濃いめの味が出るため、口の中をさっぱりさせる目的でお寿司屋さんのアガリとしてよく使用されます。
近年、パウダー状のいわゆる「溶けるお茶」(粉末茶)をよく目にしますが、粉茶はあくまで茶葉であり、茶殻も残りますので、パウダーのお茶とは別物です。
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ほうじ茶
煎茶や玉緑茶を強火で焙(ほう)じたもの。苦みや渋みはほとんどなく、カフェインも少なめで胃に優しいため、食事中のお茶としてもおすすめです。
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玄米茶
煎茶や玉緑茶に、炒った玄米を混ぜ合わせたもの。独特の香ばしい香りが特徴。安永商会の玄米茶は、熊本県産米を玉緑茶や煎茶とブレンドしています。
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番茶
番茶は、地域によって指すお茶の種類が違うようですが、共通している概念は、高級な煎茶ではなく、普段使いの家庭用のお茶、というところでしょうか。
本来は、夏以降に収穫された茶葉(三番茶、四番茶、秋冬番茶)を使用したお茶のことです。これらの茶葉を、ほうじ茶にして飲まれるようになったことから、ほうじ茶のことを番茶と呼ぶ地域もあります。(有名なのは、京番茶や加賀棒茶など。)